Tamrielic Rhapsody - The Elder Scrolls III & IV

 主にThe Elder Scrollsシリーズに関連した事を綴っていくブログでございます。

Category :  スポンサー広告
tags : 
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2010/06/07
Errands On Behalf 3

Category :  プレイ小話
tags : 
     Errands on behalf 11



その岩陰では、この地域に生息する狼に襲われたと思われる
ピンク色の髪の少女が追い払おうと奮闘しているようだった。

光の当たり具合によりサラサラした柔らかな髪が印象的に映るが、
彼女の小柄な体はその美しい印象とは対照的なあどけなさを感じさせ、
同時にこのような状況に本来いるべきではないという違和感も見る者へと与えていた。
 
右手で握っている短剣も本来彼女のような子供が持っているべきものではないが、
彼女の身につけているふわっとした柔らかな質感のマフラーや手袋、
どこかで催される何かのおめでたい行事で着るような赤い衣装、
そして左手で抱えているクマのぬいぐるみは、この世界では見かける事自体稀なもので、
いずれも今目に映る殺伐とした光景では浮いてしまうものだった。


     Errands on Behalf 4-1



彼女は体に受ける衝撃を和らげるべくぬいぐるみをクッション代わりに使っているようで、
こういう危機的状況の咄嗟の判断としてはむしろ理に適っているといえるが、
それでも体当たりを受ける度に大きく仰け反ってしまっているのを見ると、
その狼の力強さの前では気休め程度の役にしか立っていないようだ。





獲物は逃がさないという鋭い眼光と牙から窺える凶暴な印象は、
戦いとは無縁な世界に生きる者の心へ恐怖を植え付けるには十二分とも言えるものだ。
しかしそれ以上に、強く地面を蹴る事で生み出される速度が上乗せされた力強い押しは
彼女のその小柄な体でそう何度も受ける事が出来るものではなく、
受けた衝撃は体の内側から少しずつ彼女の体の自由を奪っていった。


衝撃を受ける度に聞こえるまだ幼く苦しそうな声も、その力強さを物語っていた。




( ・ ・ ・ ・ ・ )




少し離れた場所でIdylleはその様子を見て、助け舟を出すべきかどうか考えていた。


大方、このように他者の危機的状況に遭遇した場合は、「加勢する」か「知らない振りを装う」か、
「自身に危害が及ぶ事を恐れて逃げ出す」かのいずれかの選択肢を、
自身の技量や過去の経験・体験といった事柄を基に判断して決めるものなのだろう。

しかしIdylleは、すぐに助け舟を出すのが必ずしも最善の策になる訳ではないという事を心得ていた為、
その子供には少々酷かもしれないが、手を貸す前にまず状況を見届けようと考えたのだ。




その子供が体当たりを数回程持ち堪えた頃になると、
さすがに彼女の顔にも疲弊した表情が浮かび出し、息を切らし始めていた。
体当たりの衝撃が体の内部に蓄積されてきた事によって
彼女の動きも痛みを訴えるような鈍いものになり始めている。




( そろそろでしょうか ・ ・ ・ ・ )




その様子から判断してIdylleが背中の杖に手を伸ばしたその時だった。




     Errands on Behalf 4-2




彼女も「このままではあぶない」と思ったのだろう。
開けた場所へと移り、一旦後ろに下がって距離を取ると、
右手を空に掲げ、その手から淡く溢れ出る青白い癒しの光に身を任せた。

その回復の魔法の強度を見る限りでは、
彼女のそれは多くの者が最初に身に付ける初歩の魔法のようで、
応急処置としては少々心許なく、数秒の間心を落ち着かせる程度の効果しか得る事は出来ない。




しかしそれを見てIdylleは、




( ・ ・ ・ ・ 今はまだ彼女に出来る事はさせてあげましょうか )




と構えかけていた体勢を解いた。


本来、戦いに縁の無い世界に住まう人間や生き物であれば、
このような危機的状況に置かれた場合、生き延びたいという潜在的な本能によって、
その場から逃げようという事を第一に考えるのが普通の反応と言える。

彼女のような子供であれば尚更の事・・・なのだが、ところが彼女は、
負傷していても逃げようとするどころか、自分の力でどうにか切り抜けようと、
その小さい体で恐れる事無く立ち向かっている。


もし彼女が一人でこの状況を切り抜ける事が出来たのであれば、
それは今の彼女にとって大きく生きる経験になり、将来的に成長する為の芽ともなり得るだろう。
彼女がこのまま力を抜かずにいけばあるいは ・ ・ ・

















・ ・ ・ そうIdylleは考えていたのだが。








儚くも、その僅かな期待は霞んで消える事となった。







自身の治癒に気を取られてしまった余り、周囲に注意を向ける事を忘れてしまったのか、
彼女はつまずいて転んでしまい、そこを付け入られてしまったのだ。
どこにもつまずくようなものはなかったのだが。


起き上がりながら前方を見た時にはもう既に遅かった。



助走をつけてきていた狼の体当たりがくぐり抜けるように彼女の腹部を直撃し、
狼はそのまま上方へと牙を剥き出しにしながら彼女の体をしゃくりあげていた。


「うっ ・ ・ ・ 」


絞られた悶絶の声がこぼれ、宙を舞いながら彼女の意識が遠のいていく ・ ・ ・




     Errands on Behalf 4-3




力の抜けた彼女の体が音を立てて地面に倒れる。




Idylleは額に手をやる代わりに苦い顔をしながら、落胆したように息を抜いた。



「 魔法を使って切り抜けようとするところまでは良かったと思ったのですが ・ ・ ・ 」



なぜ何もないところで転んでしまったのか、そこが気にかかってしまったようだ。




手を貸してあげるべきだったか、その後悔とも少し違う考えも束の間、
Idylleは目先の光景に目をピクリと少しだけ動かす。


今しがた少女を退けたその狼は早くも次の標的を定めたのか、
少女が倒れたのを確認すると今度は逆の方向へと走り出したのだ。


「 まずい、あの方向は ・ ・ ・ 」



そう、それは先程彼女がここまで旅路を共にしてきた"相棒"を待たせてある方向だった。



それを確認すると彼女も足早に狼の後を追う。



「 ・ ・ ・ ・ 仕方ありませんね。」



     Errands on Behalf 4-4


Idylleはその言葉を口にするのとほぼ同時に右腕を杖の傾きと平行に構え、
手招きをするように伸ばした人差し指と中指を素早く内側へと引き寄せた。


テーマ:Oblivion - ジャンル:ゲーム

コメント


この記事に対するコメントの投稿
















この記事に対するトラックバック

トラックバックURL
http://dolcecreamlatte.blog96.fc2.com/tb.php/36-bf4d2ffb
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。